「立場」は戦後の人種の関係性を一枚の写真のように描いていた作品。
白人は1人だけ前方でゆったりと座っている。
しかし座っているのは今にも折れそうな細い椅子。
これは威厳を保ちたい白人の姿と他国の助けが無ければ壊れてしまう椅子(経済)の姿を表している。
その椅子が後ろにもたれても折れないように後ろで黒人が左手を添えている。
黒人は大量の綿花を担ぎながらも背筋を伸ばし足を揃え、真正面にいる私たちを見ている。
黒人は白人の奴隷として働き綿花を大量に摘み、摘めない場合は罰を与えられた。
その状態を傍観している赤いネクタイと尖った革靴履いている黄色人。
この赤色のネクタイは主人がアメリカであることを意味し、
日本人の「働くことが美徳」の文化を表現している。
また、過度な仕事によってストレスを抱え自殺する黄色人の首を吊る縄をネクタイで表現している。
白黒の背景は昔の戦争中の世界を表し、空爆によって家が燃え煙がかかり空が一面灰色へと変わっていく。
金井は海外で感じた人種の違いや戦争から受けた苦しみ、葛藤をありのままに描くことで戦争がもたらす残酷さや現代にまで残る被害の大きさを表現すると同時に、お互いを認め手を取り合い助け合える未来を作れるのは今を生きている私達だと伝えたい。